現実版・ダーティーハリー

 ミランダ警告ってのは、あくまで事前の告知であって、それをしたからといって黙秘権を失わせるモンではないんだな。当たり前だけど。警告がなかったら、黙秘権が実質的に侵害されていた若しくは供述の任意性が認められない、ってことになるんじゃないかな。

 

 んで、わっしが大好きなクリント・イーストウッド主演のダーティハリーは、ミランダ判決なんかクソ喰らえの剛腕(!)刑事の大立ち回り映画なんだけど、これはあくまで映画であって、現実でこんなことしちゃイケナイのは、たぶん小学生でもわかると思うっす。

 でも、ボストン爆破事件の被疑者に対しては、ミランダ警告が行われないばかりか、黙秘権自体も認めないという、およそ先進国とは思えないような捜査方法をとっているんだそうな。

 日本の刑事訴訟法は、ドイツ2割、アメリカ8割のブレンドで出来たものなんだけど、さすがに本家がこんなことをやらかしちゃったら、いままでアメリカ判例に倣って解釈論を展開してきた日本の刑事訴訟法学は根底を揺るがされるような気がするよ。杞憂かな。

 ミランダ警告には合理的な例外を認めることはできると思うけど(できないっていう立場も当然ありうるけど)、黙秘権に例外を認めることは、到底説明がつかないんじゃないかな。

 ましてや、「拷問も一定の場合にはやむを得ない捜査方法として許容する」って、アンタそれいつの時代の話だよ・・・。まぁ、わっしは戦争で人を殺すことは例外なく殺人罪に該当する(あとは個別の正当防衛の成否だけ)と思ってるわけなんだけども、死刑反対(全部の州ではないけど)って言いながら、戦争はやっちゃう、そして民間人をも間違えて殺しちゃうお国なんだから、どんなイミフな理屈が出てきてもおかしくはないよね。